彼の弟分
転校生が来てから1日。初日から紅葉に振り回されてしまった#name2#は翌日いつも通りに学校へ来た。昨日の話聞いたよーなんて、友人に言われては苦笑いしか浮かべられない。今日も今日とて朝練でお疲れの了平と、早くも入部したのか単に寝ているだけなのか突っ伏している紅葉を見て#name2#はため息をついた。
一度仲が悪くなってしまえば喧嘩は絶えない。お互いがお互いに突っかかってはボクシングで決着を付けようとする。そんな光景を#name2#は今日だけで何回か目撃した。そのたびに慌てて止めに入るのは#name2#の役目だとクラスメイトの中では暗黙の了解になってしまっていた。
やっと訪れた昼休み。了平は練習へ向かい、紅葉も教室から姿を消した今だけが心休まる時間だった。
「#name2#、あんた、大丈夫?」
「…つ、つかれた…」
お弁当を食べる気力もない#name2#に友人が声をかける。心配するくらいなら助けてよ!と心の中で叫びながらも、逆の立場だったら自分も関わりたくないと思う。
「それにしても、青葉君てもったいないよねー」
「ね!イケメンなのにさぁ!」
「…そうだね」
超バカ、とか熱血だしね、とか好き勝手言っている女子の中で#name2#は昨日の紅葉を思い出した。ボクシングをしている楽しそうな姿。不敵な笑みを浮かべた口元。バカだなんて、そんなことは忘れてしまうような紅葉を頭に浮かべた#name2#は、はっとしてそして顔を赤くした。
(な、なんで青葉君のことこんなに考えてるのわたし!)
幸いにも話に夢中になっている友人たちは#name2#の変化に気付かずに済んだ。午後の授業も午前と変わらずに過ごし、#name2#にとっての長い1日が終わりを告げようとしていた。
****
たまたま職員室に用があった#name2#は用事を済ませ教室へ戻ろうとしていた。廊下には掃除をしている生徒が何人か。その中に#name2#は見知った茶色いツンツン頭を発見した。
「ツナ君!」
「…あ、#name2#さん!」
ここは2年生の担当の場所だったか、なんて思いながらツナに話しかけた。ツナと#name2#はご近所さんで小さいころよく一緒に遊んでいた。今でもたまに家に遊びに行ったりする仲だ。
ツナの横で箒を手にしていたのは、並盛中の指定服ではない黒い制服に身を包んだ赤い髪の男の子。最近、というか昨日あたりからよく目にする制服だ。
「ツナ君のクラスにも転校生来たんだ!」
「うん、2人来たよ。#name2#さんのクラスにも?」
「そうだよ、うちのクラスには一人。ねぇねぇ、名前は?わたしは#name1##name2#!3年だよ」
「古里、炎真…」
#name2#が明るく話しかけても炎真は小さく答えるだけだった。顔は絆創膏やら傷テープやらで埋め尽くされている。何があったのなんて聞く必要もないくらいに分かりやすい殴られた傷だった。
「炎真くんね、よろしく!」
「うん…」
「あ…そうだ、炎真くん。一つ聞いてもいいかな?」
#name2#の問いに頷いた炎真を見て続ける。少しだけ、言いにくそうに口を開いた。
「…その…、青葉君って、知ってる?至門中の、3年の…」
「…知ってる」
「そっか、笹川先輩と同じクラスだから!」
「じゃ、じゃあさ、青葉君て、どんな人か…教えてくれない?」
ほんのり赤く染まった顔を隠すように逸らして、#name2#は炎真の言葉を待った。ツナは何やら少しだけ分かってしまったようで驚いた顔をしている。
「…紅葉は…」
「う、うん」
「………いつも、うるさい」
「そ、そっか…」
(エンマ君、はっきり言っちゃったよ!#name2#さんも困ってるし!)
(やっぱり、いつもああなんだ…)
「でも…」
「…でも?」
「紅葉は、優しくて、お兄ちゃんみたい…だよ」
今まで無表情だった炎真が、頬を緩めて笑った。炎真と紅葉がどのくらい仲がいいのかわからなかったが、#name2#はなんだか嬉しくなった。
「そっか!教えてくれてありがとうっ!じゃあ二人とも、またね」
とても軽い足取りで#name2#は教室へ戻った。明日も、学校に来るのが楽しみだ。(知らない君を知りたい、なんてね)
一度仲が悪くなってしまえば喧嘩は絶えない。お互いがお互いに突っかかってはボクシングで決着を付けようとする。そんな光景を#name2#は今日だけで何回か目撃した。そのたびに慌てて止めに入るのは#name2#の役目だとクラスメイトの中では暗黙の了解になってしまっていた。
やっと訪れた昼休み。了平は練習へ向かい、紅葉も教室から姿を消した今だけが心休まる時間だった。
「#name2#、あんた、大丈夫?」
「…つ、つかれた…」
お弁当を食べる気力もない#name2#に友人が声をかける。心配するくらいなら助けてよ!と心の中で叫びながらも、逆の立場だったら自分も関わりたくないと思う。
「それにしても、青葉君てもったいないよねー」
「ね!イケメンなのにさぁ!」
「…そうだね」
超バカ、とか熱血だしね、とか好き勝手言っている女子の中で#name2#は昨日の紅葉を思い出した。ボクシングをしている楽しそうな姿。不敵な笑みを浮かべた口元。バカだなんて、そんなことは忘れてしまうような紅葉を頭に浮かべた#name2#は、はっとしてそして顔を赤くした。
(な、なんで青葉君のことこんなに考えてるのわたし!)
幸いにも話に夢中になっている友人たちは#name2#の変化に気付かずに済んだ。午後の授業も午前と変わらずに過ごし、#name2#にとっての長い1日が終わりを告げようとしていた。
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たまたま職員室に用があった#name2#は用事を済ませ教室へ戻ろうとしていた。廊下には掃除をしている生徒が何人か。その中に#name2#は見知った茶色いツンツン頭を発見した。
「ツナ君!」
「…あ、#name2#さん!」
ここは2年生の担当の場所だったか、なんて思いながらツナに話しかけた。ツナと#name2#はご近所さんで小さいころよく一緒に遊んでいた。今でもたまに家に遊びに行ったりする仲だ。
ツナの横で箒を手にしていたのは、並盛中の指定服ではない黒い制服に身を包んだ赤い髪の男の子。最近、というか昨日あたりからよく目にする制服だ。
「ツナ君のクラスにも転校生来たんだ!」
「うん、2人来たよ。#name2#さんのクラスにも?」
「そうだよ、うちのクラスには一人。ねぇねぇ、名前は?わたしは#name1##name2#!3年だよ」
「古里、炎真…」
#name2#が明るく話しかけても炎真は小さく答えるだけだった。顔は絆創膏やら傷テープやらで埋め尽くされている。何があったのなんて聞く必要もないくらいに分かりやすい殴られた傷だった。
「炎真くんね、よろしく!」
「うん…」
「あ…そうだ、炎真くん。一つ聞いてもいいかな?」
#name2#の問いに頷いた炎真を見て続ける。少しだけ、言いにくそうに口を開いた。
「…その…、青葉君って、知ってる?至門中の、3年の…」
「…知ってる」
「そっか、笹川先輩と同じクラスだから!」
「じゃ、じゃあさ、青葉君て、どんな人か…教えてくれない?」
ほんのり赤く染まった顔を隠すように逸らして、#name2#は炎真の言葉を待った。ツナは何やら少しだけ分かってしまったようで驚いた顔をしている。
「…紅葉は…」
「う、うん」
「………いつも、うるさい」
「そ、そっか…」
(エンマ君、はっきり言っちゃったよ!#name2#さんも困ってるし!)
(やっぱり、いつもああなんだ…)
「でも…」
「…でも?」
「紅葉は、優しくて、お兄ちゃんみたい…だよ」
今まで無表情だった炎真が、頬を緩めて笑った。炎真と紅葉がどのくらい仲がいいのかわからなかったが、#name2#はなんだか嬉しくなった。
「そっか!教えてくれてありがとうっ!じゃあ二人とも、またね」
とても軽い足取りで#name2#は教室へ戻った。明日も、学校に来るのが楽しみだ。(知らない君を知りたい、なんてね)