16
「…で?何で参加したんだ」
深一さんがいつになく険しい表情でわたしに問い詰める。怒られるのは覚悟していたけれど、こんなにすぐだなんて思ってなくて、気まずくなる。
「…それは…、お父さんを」
「#name3#さんなら俺が助けるって言っただろう?」
苦し紛れの言い訳をバッサリ切り捨てられてわたしはどうしようもなくなった。素直に謝るのが一番、かな?
「…ごめんなさい、深一さん。でもわたし、深一さんだけに任せる訳にはいかないと思って…。お父さんを助けたいんです!わたしも一緒に戦わせてください」
深一さんの瞳を見つめて言った。わたしの気持ちが伝わったのか、それともただあきれたのか、深一さんは一つ溜息をつくと、わかったと言ってくれた。
「あの、それで、どうやって#name2#ちゃんを助けるんですか?」
「それならもう考えて…」
「待って下さい」
勝手に二人で進められそうになった会話をわたしが遮った。このゲーム、わたしの力で勝ちたいの。
「深一さん、見ていてください。わたしはちゃんと、戦えます。そしたらわたしのこと、認めてくれますか?」
もう一人で戦っても心配されないように、共に闘う中で片腕となれるように、一人で戦って、勝ってみせる。
深一さんと直さんは、頷いてくれた。そしてわたしはその場を後にした。
****
これからがわたしの作戦。確実に勝ち票を手に入れるための。
勝つためには最低50票が必要。わたしは今10票しかないから、あと40票以上集めなければならない。そして、Mチケットの残金は1億円。これを有効に使えば勝てる。
まずはじめに、わたしは各プレーヤーと二人きりで会った。
そして、全員に同じ話を持ちかける。
「…あの…、10票を7000万円で売ってもらえませんか…?お願いします!このままで終わりたくないんです。それに、7000万あったら少しでも借金が減ると思いませんか?悪い話ではないと思うんです。…ごめんなさい、信用出来そうな方は…あなたしかいなくて…」
皆2回戦で多額の借金を抱えている。だから少しでもお金が欲しい。そこに7000万くれるという話があるのなら、誰だって飛びつくだろう。
一見、この話は相手にとっての利益しかないように思えるかもしれない。確かに1人としか取引しなければ、負けるのはわたしで、その人はお金を手に入れるだけだ。
でも、わたしは福永さんと直さんを除く7人のプレーヤーと取引をした。そして、わたしの票は80票にまで達したのだ。
****
9回目の投票が終わった。
1位 #name1##name2# 80票
2位 神埼直 45票
3位 オカノケンヤ 41票
・
・
・
7位 フクナガユウジ 40票
わたしは断トツの単独トップ。その次は直さん。誰も予想しえなかった結果となった。
「ちょ、ちょっとこれ!どういうことよ!」
「何で#name2#ちゃんが1位なんだ!?」
プレーヤーたちが慌ててパニックになっている中、深一さんはわたしの頭を軽く撫でた。
「よくやったな、#name2#。俺の作戦と同じだよ」
褒めてくれた、認めてくれた。それがすごく嬉しくて、わたしは笑顔になった。
「#name2#ちゃん、すごいね!まさか1位になっちゃうなんて!これならもう勝ちは確定だよ」
きゃっきゃっ、なんて聞こえてきそうな直さんと手を合わせてはしゃぐ。そんなわたしを許せないのか、他のプレーヤーが声を張り上げた。
「おい!どういうことだよ!?」
「どうって…集めたんですよ?皆さんから10票ずつ」
「み、みなさんからって!?」
「お前も!?」「7000万で!?」
慌てて各々鞄から、わたしが渡したMチケットを取りだす。7人全員が全く同じ内容のものを持っていた。
「テメェ、騙したのか?」
プレーヤーに囲まれて、慌てて逃げ出す。
「わ、ごめんなさいっ!でも、仕方なかったんですよ!」
さっと深一さんの影に隠れる。そっと覗いてみると、みんなこっちを見ていた。
「騙して何が悪い?」
凛と声が響いた。それは、本来ここにいるはずのない人間。深一さん。
「これはライアーゲーム、騙し合いのゲームだろ?」
息を飲んでその登場に驚くプレーヤー。
「テメェが入れ知恵したのか?汚いぞ、部外者がゲームに参加しやがって!!」
罵声がぶつけられる中、口を開いたのはエリーだった。
「敗者復活戦は私物の持ち込み自由です。秋山様は#name1#様の私物と判断しております。ルール上、問題はございません」
「…ふふふ、残念でしたね?そんなことより皆さん、ちょっとヤバいですよ?」
「お前ら8人は勝利確定のための50票に達していない。一方、#name2#一人だけが安全圏から30票もオーバーしている」
「直さんは、次にわたしが投票するから絶対に勝つことができますし」
そこでわたしはプレーヤーの顔を見渡した。焦りが出ている人がほとんどだ。その様子に少し口角を上げる。
「…大丈夫ですよ?まだチャンスはあります。そうですね、今からこの30票を売りましょう。勝ち残りたければわたしのところへ来て下さい。値段によっては…、売りましょう」
「ふざけやがって!!!」
福永さんが拳を震わせて怒りをあらわにする。しかし深一さんはきっぱりと切り捨てた。
「嫌なら買わなくていい。莫大な借金を抱えて堕ちるだけだからな?…自覚しろよ、状況は今この瞬間に劇的に変わったんだ。今、このゲームを支配しているのは#name1##name2#。お前らを生かすも殺すも…、彼女次第だ」
その瞬間、全員の表情が凍りついた。その場から一歩も動けないのを余所に、わたしたち3人は去って行った。
足音が嫌に木霊した。
(深一さん、わたしのセリフ取りましたね)(お前のものは俺のものだろ?)(ジャイアニズム…!)
深一さんがいつになく険しい表情でわたしに問い詰める。怒られるのは覚悟していたけれど、こんなにすぐだなんて思ってなくて、気まずくなる。
「…それは…、お父さんを」
「#name3#さんなら俺が助けるって言っただろう?」
苦し紛れの言い訳をバッサリ切り捨てられてわたしはどうしようもなくなった。素直に謝るのが一番、かな?
「…ごめんなさい、深一さん。でもわたし、深一さんだけに任せる訳にはいかないと思って…。お父さんを助けたいんです!わたしも一緒に戦わせてください」
深一さんの瞳を見つめて言った。わたしの気持ちが伝わったのか、それともただあきれたのか、深一さんは一つ溜息をつくと、わかったと言ってくれた。
「あの、それで、どうやって#name2#ちゃんを助けるんですか?」
「それならもう考えて…」
「待って下さい」
勝手に二人で進められそうになった会話をわたしが遮った。このゲーム、わたしの力で勝ちたいの。
「深一さん、見ていてください。わたしはちゃんと、戦えます。そしたらわたしのこと、認めてくれますか?」
もう一人で戦っても心配されないように、共に闘う中で片腕となれるように、一人で戦って、勝ってみせる。
深一さんと直さんは、頷いてくれた。そしてわたしはその場を後にした。
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これからがわたしの作戦。確実に勝ち票を手に入れるための。
勝つためには最低50票が必要。わたしは今10票しかないから、あと40票以上集めなければならない。そして、Mチケットの残金は1億円。これを有効に使えば勝てる。
まずはじめに、わたしは各プレーヤーと二人きりで会った。
そして、全員に同じ話を持ちかける。
「…あの…、10票を7000万円で売ってもらえませんか…?お願いします!このままで終わりたくないんです。それに、7000万あったら少しでも借金が減ると思いませんか?悪い話ではないと思うんです。…ごめんなさい、信用出来そうな方は…あなたしかいなくて…」
皆2回戦で多額の借金を抱えている。だから少しでもお金が欲しい。そこに7000万くれるという話があるのなら、誰だって飛びつくだろう。
一見、この話は相手にとっての利益しかないように思えるかもしれない。確かに1人としか取引しなければ、負けるのはわたしで、その人はお金を手に入れるだけだ。
でも、わたしは福永さんと直さんを除く7人のプレーヤーと取引をした。そして、わたしの票は80票にまで達したのだ。
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9回目の投票が終わった。
1位 #name1##name2# 80票
2位 神埼直 45票
3位 オカノケンヤ 41票
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7位 フクナガユウジ 40票
わたしは断トツの単独トップ。その次は直さん。誰も予想しえなかった結果となった。
「ちょ、ちょっとこれ!どういうことよ!」
「何で#name2#ちゃんが1位なんだ!?」
プレーヤーたちが慌ててパニックになっている中、深一さんはわたしの頭を軽く撫でた。
「よくやったな、#name2#。俺の作戦と同じだよ」
褒めてくれた、認めてくれた。それがすごく嬉しくて、わたしは笑顔になった。
「#name2#ちゃん、すごいね!まさか1位になっちゃうなんて!これならもう勝ちは確定だよ」
きゃっきゃっ、なんて聞こえてきそうな直さんと手を合わせてはしゃぐ。そんなわたしを許せないのか、他のプレーヤーが声を張り上げた。
「おい!どういうことだよ!?」
「どうって…集めたんですよ?皆さんから10票ずつ」
「み、みなさんからって!?」
「お前も!?」「7000万で!?」
慌てて各々鞄から、わたしが渡したMチケットを取りだす。7人全員が全く同じ内容のものを持っていた。
「テメェ、騙したのか?」
プレーヤーに囲まれて、慌てて逃げ出す。
「わ、ごめんなさいっ!でも、仕方なかったんですよ!」
さっと深一さんの影に隠れる。そっと覗いてみると、みんなこっちを見ていた。
「騙して何が悪い?」
凛と声が響いた。それは、本来ここにいるはずのない人間。深一さん。
「これはライアーゲーム、騙し合いのゲームだろ?」
息を飲んでその登場に驚くプレーヤー。
「テメェが入れ知恵したのか?汚いぞ、部外者がゲームに参加しやがって!!」
罵声がぶつけられる中、口を開いたのはエリーだった。
「敗者復活戦は私物の持ち込み自由です。秋山様は#name1#様の私物と判断しております。ルール上、問題はございません」
「…ふふふ、残念でしたね?そんなことより皆さん、ちょっとヤバいですよ?」
「お前ら8人は勝利確定のための50票に達していない。一方、#name2#一人だけが安全圏から30票もオーバーしている」
「直さんは、次にわたしが投票するから絶対に勝つことができますし」
そこでわたしはプレーヤーの顔を見渡した。焦りが出ている人がほとんどだ。その様子に少し口角を上げる。
「…大丈夫ですよ?まだチャンスはあります。そうですね、今からこの30票を売りましょう。勝ち残りたければわたしのところへ来て下さい。値段によっては…、売りましょう」
「ふざけやがって!!!」
福永さんが拳を震わせて怒りをあらわにする。しかし深一さんはきっぱりと切り捨てた。
「嫌なら買わなくていい。莫大な借金を抱えて堕ちるだけだからな?…自覚しろよ、状況は今この瞬間に劇的に変わったんだ。今、このゲームを支配しているのは#name1##name2#。お前らを生かすも殺すも…、彼女次第だ」
その瞬間、全員の表情が凍りついた。その場から一歩も動けないのを余所に、わたしたち3人は去って行った。
足音が嫌に木霊した。
(深一さん、わたしのセリフ取りましたね)(お前のものは俺のものだろ?)(ジャイアニズム…!)