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「…直ちゃんに、#name2#ちゃんを救うチャンスをあげる」

「…!#name2#ちゃんを…救う…!?」




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「1対1でちょっとしたゲームをやるんだ。もし直ちゃんが勝ったら…そうだなぁ、俺が今持ってる30票、全部#name2#ちゃんにあげてもいいよ」

「票をあげるって…そんなことできるんですか!?」


一度獲得した票は、そのプレーヤーのもの。


本人たちの合意の上ならば票の移動も可能ということだ。


「でも、もし私が負けたら…?」

「そのときは、Mチケットで俺に3000万支払ってもらう」

「3000万!?」

「そんなに驚く金額じゃないでしょう。君は二回戦で4000万以上儲けてんだから。…直ちゃんは#name2#ちゃんを助けたい。一方俺は、1億の借金があるから少しでも金を集めたい。お互いに必要なものを賭けるんだから…悪い話じゃないだろう?」


直はその条件を、飲んだ。

福永の用意したゲームの内容は簡単なものだった。

2枚のカードを用意する。1枚は普通のジョーカーのカード。もう1枚はミスプリントで裏表の両方が裏の絵のカード。その2枚を袋に入れ、福永が混ぜて直が1枚引く。ここで、取りだした際にジョーカーが表で出てきたらそのゲームはノーカウント。裏が出てきたら、カードを裏返し、ジョーカーだったら直の勝ち。裏だったら福永の勝ちとなる。先に10勝した方が勝ち。


「俺が、カードをまぜまぜして、直ちゃんが引く。完全にフェアな勝負ってわけ!」

「確かに…これならイカサマできない!」


二人はテーブルをはさんで向かい合って座った。


ゲームスタートだ。


その様子を影から#name2#が見ているとも知らずに。





****





結果は、福永10勝 直6勝

直の負けだった。


「…騙されやすいんじゃなくて…運もないんだね」


直は3000万円を取られてしまった。


(…直さん…私のために…)


#name2#はそっとその場を後にした。




****




直は小部屋にいた。

電気も付けず、ロッカーに縋りつくように泣き崩れている。


「…もう…だめだ…。あ、きやま、さん…、#name2#、ちゃん…。ごめんなさい…。うっ…、ごめ…」


直の背後の扉が開く。

光が一筋、入り込み、声を掛けられた。

直が一番聞きたかった、声。


「また、負けて泣いてんのか?」


直が振り返ると、そこには秋山がいた。


「嫌がらせみたいに毎日掛かって来た電話が、ぱたっと止まったと思ったら…。こんなとこに居たとはなぁ?」

「秋山さん…」

「事務局のヤツから連絡があったんだよ。敗者復活戦をやってること、そしてそこにお前と#name2#がエントリーしてることも。何で参加したんだ。…折角二回戦でこのゲームから抜け出せたってのに…」


いらだちを隠さず、眉間にしわをよせる秋山。

直は申し訳ない気持ちでいっぱいになり、顔を直視することが出来なかった。


「…わ、私…、秋山さんが三回戦に進むのを止めたくて…」


自分たちの犠牲に、秋山一人がなることは直には耐えられなかった。

少しでも自分が助けになるのなら、今からでも引き返す道があるのなら彼を救いたかったのだ。


「…それで負けてたら意味ないだろう」


もっともな意見だが、ここで問題があった。

負けているのは、直ではない。


「あの…負けてるのは…私じゃ、ないんです」


その言葉の真意を図り損ねた秋山は怪訝そうに直を見る。


「…負けてるのは、#name2#ちゃんです…」

「…!なんだと!?」


直は秋山に事情を説明した。


福永に嵌められたこと、#name2#が直を庇ったこと。

話を聞き終えると、秋山はすぐさま#name2#を助ける手段を考え始めた。




****





直さんが私のために戦ったのなら、私が敵を討ちましょう。


「ふーくーなーがーさん!ちょっとお話があるんですが?」


福永は突然の#name2#の登場に驚きながらも、話を促す。


「あのですね、先ほどのゲーム、見てました。そこで、もう一度、今度は私と勝負してくれませんか?」


福永のゲームは、イカサマだった。

ジョーカーを表にして袋から出してしまった場合、そのゲームは無効となる。しかし、福永の両面が裏のカードなら、無効となる可能性はない。よって福永の勝率は直の倍だったのだ。

福永は#name2#にそれが見破られているのではないかと思い、断ろうとしたが、


「さっきのゲーム、すごくフェアなものでした。直さんはちょっと…、運がなかったんですかね…。もちろん、私が勝負して”いただく”わけですから、条件は福永さんに有利なもので構いません。そうですねー、私が勝ったら…、福永さんの票を10票下さい」

「…え、10票でいいの?今更10票獲得したところで、何も変わらないと思うんだけど」


#name2#は、もっともです、と苦笑いをして続ける。


「…だけど…、このまま0票で終わるなんて、絶対嫌なんです…。お願いします!その代わり、福永さんが勝ったら、私のMチケットのお金、1億円全部差し上げます!!」


福永の目がぎらつく。

#name2#は思った。引っかかった、と。


(福永さんは、お金を持ち出せば簡単に動く。しかも1億円なんていう大金、目の前にさらされたら飛びつかないわけがない)


交渉成立だ。




****




ゲーム中盤、福永9勝 #name2#5勝


「(…この子も、馬鹿だ…!どっちにしろ負けなのに、1億円なんて大金をくれるなんて!!!)」


勝利を確信した福永は、それがバレないように#name2#を心配するかのような素振りを見せる。


「えー、まずいですー…。このままじゃ、負けちゃいます…」


眉を下げて口を尖らせる#name2#。


「よーく考えて、引きなよ?これで決まるかもしれないんだからさ!!」


袋の中へ手を伸ばす#name2#。




****





ゲーム終了、福永9勝 #name2#10勝


「やったぁ、私の勝ちですね!!」


福永が何かを探る前に、#name2#は紙に正の字を書き込む。


「ばかだ…、こんなの、嘘だ!!イカサマだァ!!!!」

(ふふふ…その通り、です!)


私は両面裏のカードの側面に傷を付け、触って分かるようにしていた。

途中まで福永さんに勝たせて、そこから大逆転をしたのだ。


「白状しろよ!!お前何かイカサマしたんだろ!!?」


テーブルを強く叩いて声を荒げる福永に、#name2#も負けじと声を張り上げる。


「どうしてですか!?負けて悔しいのはわかりますけど、公平な勝負なんだから私が勝ったっておかしくないじゃないですか!!」


#name2#は自分が福永に1億円を渡す、という内容のMチケットを破り捨てて見せた。

福永は怒りに震えていたが、もう一度テーブルを強く叩くと、走り去ってしまった。


「上手くごまかしましたね」

「…!あー、ばれちゃいましたか?」


バツの悪そうに苦笑いをする#name2#にエリーはさらに続けた。


「私はゲームの勝敗を確認していただけです」


居心地が悪くなって、#name2#はその場を後にした。




****




#name2#が適当に部屋に入ろうとすると、直が駆け寄ってきた。


「#name2#ちゃん!!私、#name2#ちゃんのために票を確保して来るよ!!!」


最後に見たときの姿とは打って変わって、満面の笑みを浮かべる直。

一体、この短時間の間に何があったのだろうか。


「直さん、どうしたんですか?なんだかすごく元気になりましたね!あ、それと、票は私が取りますから気にしないでいいですよ?」

「ううん、秋山さんがね…!」


予想外の名前に疑問を浮かべていると、直の背後から人影が見えた。


「よぉ、#name2#?」


今朝、#name2#が置き去りにしてきた人物だった。



(げ…深一さん…どうしてここに…) (俺に黙ってなにしてんだ?) (…これで#name2#ちゃんも助かる…!)


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