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敗者復活戦、開始と同時にそれぞれ散っていく。


「なーおさん!お久しぶりです!」

「あ、#name2#ちゃん!来てたんだ」

「はい。勝たないといけない、理由があるので」


にっこり笑う#name2#に対し、直は不安そうな表情を浮かべる。


「でも…、勝てるかなぁ…」


そんな直に大丈夫、と言い部屋の奥まで連れて行った。

そこには他のほとんどのプレーヤーがいた。


「…!何で皆こんなに落ち着いてるの…?」


戦っている敵同士のはずが、談笑してお菓子をつまんでいる。


「だから、大丈夫って言ったでしょう!ちゃんと勝てますよ」


二人に気がついた江藤が手招きする。


「座ってお菓子でも食べなよ!」

「そうそう、結果なんてもう決まってるんだから」

「まぁ、リストラされるのは福永さんでしょう」


意味のわかっていない直に恐らく全員が思っているであろう結果を教えた。

その場にいた全員が二回戦で福永に騙されている。


(問題は、福永さんがどう出るか…)


そこへ福永が来た。

カプリコーンをぺろぺろ舐めながら、寄ってくる様は正直奇妙だ。


「寄ってくんじゃねーよ、キノコ!」

「さっさとどっか行って!!」


ひどい言われように福永も顔を暗くする。


「…やっぱり、リストラは俺で決まりか…。わかったわかった!負けるのは俺で仕方ないんだけどさぁ…、ああ、投票まで時間あるなぁ。…あ!暇つぶしにさぁ、アピールタイムっていうのはどう?二回戦で借金を抱えた自分が、どれだけ追い詰められているかをそれぞれがアピールするんだ!!」


上手く福永の口車に乗せられたみんなは、”アピールタイム”にすることになってしまった。

(…最悪…。これじゃあ、私と直さんは不利です!!)


#name2#の思いとは裏腹に周りのプレーヤーは既に乗り気になってしまった。

全員が順に、自分が勝ちたい理由をアピールした。

理由は人それぞれだったが勝ち残りたい一心で、必死に話した。

次は、直だ。


「じゃあ、次は直ちゃん!」


福永に指名された直は皆の前に立つ。

#name2#はカプリコーンを舐め続ける福永を睨みつけた。

直が話だそうとしたとき、福永がさえぎった。


「ちょっと待った!アピールの前に聞いておきたいんだけどさぁ、君、そして#name2#ちゃん、なんでここにいるの?」

「なんで・・・って、私は、事務局の人に敗者復活戦のことを教えてもらいましたから…」

「いや、そういうことじゃなくてさぁ、借金て、いくらあるんだっけ?」


その言葉に、#name2#はしまった、と思って直を黙らせようと動くが…


「借金は…ありませんけど」


既に遅かった。

他のプレーヤーは直をハッとして見つめる。

こうなっては仕方ない、と#name2#も借金がないことを明らかにした。

疑問を浮かべるプレーヤーのなかで、一人の女性が声を上げると、皆も思いだしたようだった。


「…あ!そうだ、直ちゃんは秋山と同じチームだった!!それに、#name2#ちゃんは一回戦で1億取ってるんだ!!」


そこへ福永が追い打ちを掛ける。


「だから、直ちゃんは当然手にしてるんだよなぁ?二回戦の借金を返すための1億と4000万の分け前をさぁ!!#name2#ちゃんは一人で1億も取っちゃうような強敵なんだから早めに、それも秋山のいないときに蹴落とさないとねぇ?」

「ちょっと待って下さいよ!!確かに私達には借金はありません。…でも…!!!」


もはや味方は、いなかった。

先ほどまで、一緒に話していたはずなのに、既に#name2#と直に向ける視線は冷たい。

酷く動揺した直が福永を見ると、彼はニヤリと笑って見せた。


これは、福永の作戦。

直と#name2#をリストラ候補にするための、作戦。





****





先ほどのことがあってからというものの、手の平を返したかのように誰も#name2#と直と話すどころか、目も合わせようとしなかった。

#name2#はそれ以上他のプレーヤーといても無駄だと思い、直と二人になった。


「…直さん、落ち込まないでください。まだ負けるわけじゃないですよ?」


#name2#が声を掛けても直は俯いたままだった。


「本当なら、あまり策を立てず、穏便に勝ち上がりたかったんですが…。仕方ないでしょう。直さん、大丈夫です。元気出して下さい。


だって、私には、必勝法がありますから!」


その言葉に直は顔を上げる。今にも泣きだしそうな表情をしていた。

#name2#の必勝法とは、二人でお互いに投票し合うというものだった。

そうすれば、たとえ他のプレーヤーも同じ策を取ったとしても、同票になる。


「…すごい!これなら、私達がビリになることはないよ!!」


直に笑顔が戻って、#name2#は一安心した。


(笑っていてほしい。大切なともだちだから)


二人で話していると、ノックの音が飛び込んだ。


「直ちゃん、#name2#ちゃん…、さっきはごめんね…」


福永だった。

申し訳なさそうな顔をして二人に謝る。


「だけど、俺、3人で勝ち上がる方法を見つけたんだ!」


そこで福永は決して二人だけを陥れようとしたのではないと言う。

福永の作戦は#name2#と同じものだった。


「じゃあさ、俺が直ちゃんの名前、直ちゃんが#name2#ちゃんの名前、#name2#ちゃんが俺の名前でどう?」

「はい!私は#name2#ちゃんの名前ですね!!」


直は福永が謝って、しかも#name2#と同じではあったが作戦を提供してくれたので許してしまったようだ。


「…待って下さい」

(コイツ、演技下手すぎます。だけど、きっと仲間はずれは直さんが許さないから…)

「今の順とは逆にしてください。つまり、直さんが福永さんの名前、福永さんが私の名前、私が直さんの名前です」


福永を半ば睨みつけるように言うと、すこし不服そうだが了承してくれた。

約束を交わすと福永は立ち去ろうとする。


「あの…何で、助けてくれるんですか…?私達のこと…」

「お互い様だよ!だってこの作戦がなきゃ、この3人のうち誰かが負けるんだから。それに…直ちゃん見てるとさ、危なっかしくてほっとけないんだよね!」


そこまで言うと、福永は笑顔を見せて部屋を出て行った。





****





ついに、ゲーム開始1時間が経過して投票となった。

直は”フクナガユウジ”とかかれた投票用紙と握りしめ、列に並ぶ。

#name2#は福永の用紙を覗こうとしたが、見ることは出来なかった。





****





投票の結果が出たことをエリーが言う。

前方のモニターに1位から順に名前が出てくる。



1位 福永ユウジ 10票


直は驚いて福永を見る。

しかし彼が直の方を向くことはなかった。









2位 神崎直 5票



10位 #name1##name2# 0票



「…ど、どういうこと…?#name2#ちゃんが…0って…」


次の投票まで時間があるため、プレーヤーはまた一様に去っていこうとした。

福永まで一緒に。


「福永さん、どういうことですか!?」

「やっぱりあなたは裏切るんですね?」

「約束したね…」


言いながら福永は二人の方へ振り返る。


「でも守るわけないじゃーん!!!これはライアーゲーム、騙し合いのゲームだぜぇ?」


高笑いが響く。


「…ひどい…ひどい…。…また、騙したんですね…?」

「そうだよ?前にも言っただろう。騙される方が悪いって。まぁでも#name2#ちゃんに感謝するんだな?順番を変えてくれてありがとうってな!!!」

「…むかつく。直さん、気にすることはないです。行きましょう?」


絶望に打ちひしがれる直の手を引いて行こうとしたが、福永に呼び止められた。


「#name2#ちゃん、君ならもうわかってるだろう?このゲームは最初に5票以下だったヤツは必ず負けるってさぁ!!」


直は驚いて立ち止まとうとしたが、#name2#は無視をしてそのまま立ち去った。

これは、まだはじまりにすぎない。

でも、もはや#name2#になす術はなかった。



(深一さん、あなたならどうやって勝ちますか?)


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