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二回戦から数日、私と深一さんは何でもない日常を送っていた。

あれから直さんとはメールもしたし、遊びに行く約束もした。

深一さんは一人で三回戦に進むと言っていた。

出来ることなら、一緒に戦いたいのだけれど…。

でも、負けてしまった以上、もう父さんを助けるには深一さんに頼るしかないのかな…。




****




「深一さん、朝ですよー!いい加減起きてください!!」


深一さんは、わざわざアパートを借りるのが面倒だ、と言って私の家で暮らしている。

父さんがいなくなって、ずっと一人で寂しかったからその申し出は私にとって嬉しかった。


「…ああ、#name2#。おはよう。帰って来たのか」


ゲームが終わってから仕事もいつも通り復帰した。

そしてもう一つ、これは深一さんには内緒で始めたことがある。

父さんについての情報収集だ。

きっと深一さんに言ったら、危険だからやめろだの、俺に任せろだの言われてしまうから。

そして2年前はろくな情報がなかったが、少しだけ影が見えてきたのだ。

一つ、わかったこと。

父さんはライアーゲーム事務局でディーラーとして働かされている、ということ。

きっと従うようにと脅されているように思う。

それを知って、私はなんとか事務局の正体を暴きたいと強く思った。

そんな、ときだった。


”敗者復活戦”の通知が来たのは。




****




「ここが会場、か…」


私は今、一人でこの場に立っている。

深一さんに言ったら反対されるに決まってるからだ。

深一さんが寝てる間に置手紙を残して出てきた。

…今日中に帰れなかったら、怒られるよね…。





****





中へ入ると既に何人かがそろっていた。

見知った顔もあったが、私はどうやら嫌われているようで、目を逸らされてしまった。


(絶対、深一さんのせいだ!)


中は廃墟となったパチンコ。

適当にスロットの前に腰を下ろして開始を待つことにした。





****






ついに、ゲームの内容が発表されるようだ。

入口のあたりに直さんにすごく似てる人がいるけど…、まさか、ね。

彼女にはもう参加する理由がないはずだし。


「ここでみなさんにやっていただくゲームは、”リストラゲーム”」


会場にぴんと緊張が走った。

投票用紙が配られ、ゲームの内容が説明される。




――――リストラゲーム――――
各自5つの空欄のある投票用紙を持つ。
それぞれの紙に、
”三回戦へ進ませてあげたいプレーヤーの名前”を書き、
1時間ごとに1回投票をする。投票は10回行う。
その投票の結果最下位だったプレーヤーはリストラ決定となる。
なお、”自分の名前””空欄”は認められず、
犯した場合には罰金1億円が課される。
―――――――――――――――







そして、もっとも投票を集めたプレーヤーは賞金1億円と三回戦を放棄する権利(ただし5千万返却)が与えられる。


「1位になったら…1億もらえて抜けられる…!」


小キノコ、大野が呟く。


「抜けらんねーよ、バーカ。少数決のときの借金が1億あるでしょ?それ返したら賞金は残らないでしょーが」

(うわ、福永さんも来てるのかー。嫌だなァ)


プレーヤーたちはどう頑張ってもゲームから抜け出せないことに気付く。

最低でも5千万の負債を抱えてしまうことになるからだ。


「心配には及びません。今回のゲームでは、賞金以外にお金を稼ぐ手段をご用意させていただいております」

「…Mチケット…?」


Mチケットとは、上限1億円の小切手。ここでは飲み物、食べ物、その他必要なものがないため、その金をプレーヤー同士で取引してよいということだ。

その際、取引は事務局員を通し、破ることはできない。


「賞金だけでは足りない、というプレーヤーの方は様々なものを売ってお金にすることが可能なのです。今回はそのために、私物の持ち込みが可能であることを事前にご案内させていただきました」

(…そーいうことだったんですか。お菓子とトランプしか持ってきてないけど…)


ちらり、と直さんの方を見ると、私とほとんど同じ状況だったので先が思いやられた。


「このゲームでは、思いもよらぬものが、高く売れるのです」

(…へぇ、さすがは”ライアーゲーム”ですね)


「それでは、只今からゲーム開始とさせていただきます」


タイマーが動き出す。

深一さんがいない今、直さんを助けられるのは私だ。

きっと悩んでいるだろう、でも二人で手を組めばこのゲームは簡単だ。



(勝利は、私がいただきます) (…#name2#、どこ行きやがった…)


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