10
ゲーム開始早々全員に公言しながらNoに投票した秋山はゆっくり歩いて再び#name2#の隣へ腰掛けた。
全員が呆気に取られ、足に根が生えたように動けないでいる。
ディーラーの声と共にタイマーが時を刻む音が響くと、直は我に返ったかのように秋山に駆け寄った。
「…秋山さん!大丈夫なんですか?先に投票なんかして…」
焦って詰め寄る直に対し、秋山は冷静だった。
時間が過ぎていく中、エトウは混乱していた。
ちらり、と他の二人を見てみても、それぞれ考え込んでいるため、特に情報を得られそうにない。
それに加え、当の秋山は余裕で紅茶を飲んでいる。
イラつきは頂点に達していた。
「…あっ」
何か思いついたように立ち上がると、フクナガのところへ行った。
「…ねぇ、深一さん」
私は久しぶりに口を開いた。
さっきから隣には深一さんがいたが、(さっきというか既に数時間が経つが)一応怒っている私は声を掛ける気になれなかったのだ。
「、やっと機嫌が直ったか?」
少し、呆れたような、でも安堵したような顔の秋山。
「仕方ないですね。深一さんにもきっと考えがあったんでしょう?…ところで、さっきからエトウさんなんですが…」
そう、エトウだ。
彼はフクナガのところへ行き、なにやらコソコソするのかと思えば、そりゃもう筒抜けの声で手を組むと言い出したのだ。
フクナガに指摘され、やっと気づいたように辺りを見渡す。
直も15番もばっちり聞こえていたようで、二人を凝視していた。
「気にするな。見てるだけ無駄だ」
どうやら15番まで作戦会議に加わったようだが、秋山は#name2#を促して自分の方を向かせる。
「…え、深一さん…?」
ソファに座り、不自然に見つめあった二人の視線。
その場の人は全員三人のやり取りに注目しているのはわかっていたが、なんだか場違いな自分と秋山の雰囲気に#name2#は羞恥心を感じずにはいられなかった。
しかしそんな#name2#とは裏腹に、秋山は一瞬口許を緩めると、額に優しく口付けた。
(…俺に任せろ)
決して口には出さず、心の中で呟く。
けれど、彼女には伝わったような気がした。
二人がそんなことをしている間に話し合いは随分進んだようだ。
「そんな条件飲めない!絶対に!!」
フクナガの抗議の声が聞こえてきた。
「仲間割れ、ですかね?」
「まだ仲間にもなってねぇだろ」
その言い争いを楽しそうに見る秋山。
白熱していく三人をよそに、タイマーは刻々と迫る時間を表示していた。
残り、3分。
未だ解決出来ていない様子の三人。
余裕で折り紙をしている秋山と#name2#。
「…むぅ、深一さん、意外と器用なんですね!」
「はぁ、お前が不器用なだけだろう。鶴くらい誰でも折れる」
広間には一部を除いて険悪なムードが漂っていた。
残り、1分。
結局、一旦引き分けにするという結論に至ったようで、15番の女が三人分のカードを投票箱の中へと入れた。
「…余裕ですねぇ。悪いけどお前にもう勝ち目ないから。次のゲームでお前は…」
「…次?」
フクナガが秋山に改めて勝利宣言をしに来ると、秋山はその言葉をさえぎり笑い出した。
#name2#も作戦については聞いていなかったので、急に笑い出す秋山に疑問が浮かぶ。
「、何だよ…、何がおかしい…?」
「思った通りだよ。お前らは…その程度の人間だった。かわいそうに、まんまと罠に嵌められたとも知らずにな」
その言葉に広間の全員が驚愕のまなざしを向ける。
15番の女だけは冷静に二人に声を掛ける。
「ハッタリよ、気にしちゃダメ」
会場が静かになったところで、エリーが開票を始める。
「3番、Yes。11番、Yes。…22番、No」
秋山の票がYesなのではないかと疑っていた二人は安堵の息をつく。
引き分けが確定し、次のゲームについて話し合い、もとい口論を始めてしまった。
「…15番、Yes」
互いにいがみ合っていた二人の動きはぴたりと止まる。
二人だけではない、会場全体の時が止まったかのようだった。
「ちょっと待った!!今何て!?」
フクナガが取り乱してエリーに問うと、彼女は再び繰り返した。
「15番、Yes」
「Yes、3票。No、1票となり、Noが少数派となり、22番の方が最終勝者になられました」
「勝った…、秋山さんが勝った…」
直がつぶやく。
驚いて、実感のない直に対し、#name2#は不機嫌になっていた。
#name2#の頭に浮かんだのは、秋山と15番が一緒にいる姿、
もしかしたら自分は、厄介払いされるかのように負かされたのではないか。
マイナスな思考が頭を占める。
「(…何か、嫌。というか、嫌になってる自分が、嫌…)」
俯く#name2#に気づくことなく、秋山は立ち上がった。
「どういうことだよ!?」
エトウとフクナガが焦りながら秋山に問う。
「ふっ、だから言ったろ?お前らは罠に嵌ってるって」
(ねぇ、この醜い、汚い気持ちは、何?)(答えはわかるけど、わかりたくはないよ)
全員が呆気に取られ、足に根が生えたように動けないでいる。
ディーラーの声と共にタイマーが時を刻む音が響くと、直は我に返ったかのように秋山に駆け寄った。
「…秋山さん!大丈夫なんですか?先に投票なんかして…」
焦って詰め寄る直に対し、秋山は冷静だった。
時間が過ぎていく中、エトウは混乱していた。
ちらり、と他の二人を見てみても、それぞれ考え込んでいるため、特に情報を得られそうにない。
それに加え、当の秋山は余裕で紅茶を飲んでいる。
イラつきは頂点に達していた。
「…あっ」
何か思いついたように立ち上がると、フクナガのところへ行った。
「…ねぇ、深一さん」
私は久しぶりに口を開いた。
さっきから隣には深一さんがいたが、(さっきというか既に数時間が経つが)一応怒っている私は声を掛ける気になれなかったのだ。
「、やっと機嫌が直ったか?」
少し、呆れたような、でも安堵したような顔の秋山。
「仕方ないですね。深一さんにもきっと考えがあったんでしょう?…ところで、さっきからエトウさんなんですが…」
そう、エトウだ。
彼はフクナガのところへ行き、なにやらコソコソするのかと思えば、そりゃもう筒抜けの声で手を組むと言い出したのだ。
フクナガに指摘され、やっと気づいたように辺りを見渡す。
直も15番もばっちり聞こえていたようで、二人を凝視していた。
「気にするな。見てるだけ無駄だ」
どうやら15番まで作戦会議に加わったようだが、秋山は#name2#を促して自分の方を向かせる。
「…え、深一さん…?」
ソファに座り、不自然に見つめあった二人の視線。
その場の人は全員三人のやり取りに注目しているのはわかっていたが、なんだか場違いな自分と秋山の雰囲気に#name2#は羞恥心を感じずにはいられなかった。
しかしそんな#name2#とは裏腹に、秋山は一瞬口許を緩めると、額に優しく口付けた。
(…俺に任せろ)
決して口には出さず、心の中で呟く。
けれど、彼女には伝わったような気がした。
二人がそんなことをしている間に話し合いは随分進んだようだ。
「そんな条件飲めない!絶対に!!」
フクナガの抗議の声が聞こえてきた。
「仲間割れ、ですかね?」
「まだ仲間にもなってねぇだろ」
その言い争いを楽しそうに見る秋山。
白熱していく三人をよそに、タイマーは刻々と迫る時間を表示していた。
残り、3分。
未だ解決出来ていない様子の三人。
余裕で折り紙をしている秋山と#name2#。
「…むぅ、深一さん、意外と器用なんですね!」
「はぁ、お前が不器用なだけだろう。鶴くらい誰でも折れる」
広間には一部を除いて険悪なムードが漂っていた。
残り、1分。
結局、一旦引き分けにするという結論に至ったようで、15番の女が三人分のカードを投票箱の中へと入れた。
「…余裕ですねぇ。悪いけどお前にもう勝ち目ないから。次のゲームでお前は…」
「…次?」
フクナガが秋山に改めて勝利宣言をしに来ると、秋山はその言葉をさえぎり笑い出した。
#name2#も作戦については聞いていなかったので、急に笑い出す秋山に疑問が浮かぶ。
「、何だよ…、何がおかしい…?」
「思った通りだよ。お前らは…その程度の人間だった。かわいそうに、まんまと罠に嵌められたとも知らずにな」
その言葉に広間の全員が驚愕のまなざしを向ける。
15番の女だけは冷静に二人に声を掛ける。
「ハッタリよ、気にしちゃダメ」
会場が静かになったところで、エリーが開票を始める。
「3番、Yes。11番、Yes。…22番、No」
秋山の票がYesなのではないかと疑っていた二人は安堵の息をつく。
引き分けが確定し、次のゲームについて話し合い、もとい口論を始めてしまった。
「…15番、Yes」
互いにいがみ合っていた二人の動きはぴたりと止まる。
二人だけではない、会場全体の時が止まったかのようだった。
「ちょっと待った!!今何て!?」
フクナガが取り乱してエリーに問うと、彼女は再び繰り返した。
「15番、Yes」
「Yes、3票。No、1票となり、Noが少数派となり、22番の方が最終勝者になられました」
「勝った…、秋山さんが勝った…」
直がつぶやく。
驚いて、実感のない直に対し、#name2#は不機嫌になっていた。
#name2#の頭に浮かんだのは、秋山と15番が一緒にいる姿、
もしかしたら自分は、厄介払いされるかのように負かされたのではないか。
マイナスな思考が頭を占める。
「(…何か、嫌。というか、嫌になってる自分が、嫌…)」
俯く#name2#に気づくことなく、秋山は立ち上がった。
「どういうことだよ!?」
エトウとフクナガが焦りながら秋山に問う。
「ふっ、だから言ったろ?お前らは罠に嵌ってるって」
(ねぇ、この醜い、汚い気持ちは、何?)(答えはわかるけど、わかりたくはないよ)