09
「ちょっと待て!!!おいちょっと、お前何やってんだよ!Noに入れることになってただろ!!何でYesに!?」
秋山は小さく笑いながら立ちあがった。
「完璧に立ち回ってたつもりだろうが、随分ボロが出てたなぁ、フクナガ?わかってたんだよ、お前がこのゲームを操ってたこと。そして、お前が“X”だってこともな」
秋山に詰め寄られると、フクナガは開き直ったように答える。
「何で?どうしてわかったの?」
「俺は最初から、自分の作戦が必勝法じゃないってことに気付いていた。実は、8人でチームを作ってYesとNo両方をカバーする方法に、致命的な欠点がある。…だから俺は最初から、その点だけに集中して観察を続けてたんだ。俺達以外にチームを組んでるやつが、いないかってことをな」
「最初から?でも観察したからって不自然なことなんか…」
フクナガの顔に焦りが見える。
「いや、違和感だらけだった。昨日のゲームの様子をよく思い出してみろ。おかしいだろ!前の日にあれだけ緊張していた連中が、ゲームが始まったら安心しきった顔してるんだぞ?まるで、自分たちはもう安心だって確信してるみたいにな。特にわかりやすかったのは、敗者がこの部屋を出る時だ。お前らも承知のとおり、このゲームは負ければ1億の借金を背負うことになる。普通なら、泣きわめいて暴れるやつがいてもおかしくない状況だろ?…それなのに、誰一人文句を言わず、おとなしく部屋を出て行った。おかしくないか?」
「そうですね、私も直さんも安心して部屋を出ていけました。勝てるって確信してたから」
「その様子を見たときに思いついたんだよ。俺達以外にもチームが存在するってな。大体、負けたやつらがここに来るってことが不自然なんだよ。金を持ち逃げされないか、心配だったんだろ?」
秋山のその言葉に直は考えてから話そうとする。
「私は…」
「君はいいよ。ものすごーく変わり者だってことくらいわかってるから。それに、#name2#は俺に会いにきた、だろ?」
#name2#は頷きそうになったが、昨日の怒りを思い出して、ぷいと顔をそむけた。
どんどんフクナガの失敗を洗い出していく秋山。さらに、最初にチームを組んだ時点でフクナガが“X”だと気付いていたと言う。
「…嘘だ、俺は完璧に…」
「相当鈍いな。お前は策に溺れたんだよ、フクナガ」
そう、フクナガの友人、ツカハラユウは女だったのだ。その代理として来たフクナガは女装をしていた。しかし女装の必要がなくなったため、ゲーム中は男の恰好をしていたのだ。
「じゃあ、どうして秋山さんにはわかったんですか?タカダさんも“X”は絶対に女だって言ってたのに…」
「フクナガは疑惑の目を女に集中させようとした。そこで選ばれたのが、15番。だが、そこで大失敗。もし15番が“X”なら、サングラスなんて掛けてるはずがない。疑われたくないなら普通は素顔をさらすだろう?ツカハラユウという名前、そして、15番を“X”だと言い切る自信。この時点で俺はお前の言動に注意を向けてたんだ。…そしてお前は、決定的なミスを犯したんだ。わかるだろう?#name2#」
#name2#は急に話を振られてびっくりしたが、不敵に笑いながら頷いた。
「そうですね、フクナガさん、あなたは自分が“X”だと言ったようなものです。だって深一さんは、1億円が“小切手”だなんて一言も言ってないのに、あなたはそれを知っていたんですから」
―余裕のはずだよ!一億円の小切手持ってるんじゃ…―
「どうして知ってたんですか?1億が小切手だって」
フクナガが震えだす。
「そのとおりだ、#name2#」
秋山は#name2#を軽く抱き寄せると頭を撫でた。
そのまま#name2#を引っ張ってソファまで誘導する。
「わかったか?お前の戦略がいかに甘かったかってことが」
「いい気になるなよ…それで勝ったつもりか?お前は俺の作戦を止めただけなんだ!ゲームは振り出しに戻ったんだよ。こんなの、平 気 な ん だ よ ぉ ぉ !!!」
「振り出しに?戻ったねぇ」
#name2#の腰に手を回しながら、余裕の表情で答える秋山。
「そうだ…まだゲームは終わってない…!」
そこで、ディーラーがゲームの再開を呼びかけた。
抽選の結果、出題者は秋山に決定した。
「…俺か…。人生で一番大切なものは…、金だ」
「出題者から問題が出ました。6時間の間に投票をお願いします」
「6時間も必要ない、俺の答えはもう決まってる」
その言葉に全員が驚く。
「Noだ」
全員に見えるように、Noのカードを投票箱へ落した秋山。
「秋山さん!」
「何やってんだよ、まだ6時間もあんのに…」
そう言われても、秋山は断言する。
「いらないな、時間なんて。おいフクナガ、勝つのは、おーれーなーの」
フクナガを挑発すると、フクナガが吠えた。
「ハッタリかましてんじゃねぇぞ!!!」
「どうかな?どっちにしろお前らが今見たとおり、俺は今、Noに投票した」
いいながら、手に持っていたYesのカードを破り捨てる。
「つまり、すでにNoに一票入っている以上、少数派に入れるにはYesに入れるしかない。でも逆に、お前らが自分のことばかり考えて、全員Yesに入れたら、その時点でNoが少数派になり、俺の勝ちが確定する」
「お前、ふざけてんじゃねぇぞ!」
「大真面目だ。俺を勝たせたくないなら、誰かが犠牲になってNoに入れるしかない。ただしその時点で、そいつの勝ちはなくなるけどな。…断言する。お前たちは3人とも、自分が犠牲になることを選ばない。だから、このゲーム…、必ず俺が勝つ」
3人の顔には焦りが浮かび、直には希望が見えた。
不敵に笑う秋山は、勝利を確信した目をしていた。
(…ところで、いつまで拗ねてるんだ?)(別に、拗ねてなんてないですから)(…)
秋山は小さく笑いながら立ちあがった。
「完璧に立ち回ってたつもりだろうが、随分ボロが出てたなぁ、フクナガ?わかってたんだよ、お前がこのゲームを操ってたこと。そして、お前が“X”だってこともな」
秋山に詰め寄られると、フクナガは開き直ったように答える。
「何で?どうしてわかったの?」
「俺は最初から、自分の作戦が必勝法じゃないってことに気付いていた。実は、8人でチームを作ってYesとNo両方をカバーする方法に、致命的な欠点がある。…だから俺は最初から、その点だけに集中して観察を続けてたんだ。俺達以外にチームを組んでるやつが、いないかってことをな」
「最初から?でも観察したからって不自然なことなんか…」
フクナガの顔に焦りが見える。
「いや、違和感だらけだった。昨日のゲームの様子をよく思い出してみろ。おかしいだろ!前の日にあれだけ緊張していた連中が、ゲームが始まったら安心しきった顔してるんだぞ?まるで、自分たちはもう安心だって確信してるみたいにな。特にわかりやすかったのは、敗者がこの部屋を出る時だ。お前らも承知のとおり、このゲームは負ければ1億の借金を背負うことになる。普通なら、泣きわめいて暴れるやつがいてもおかしくない状況だろ?…それなのに、誰一人文句を言わず、おとなしく部屋を出て行った。おかしくないか?」
「そうですね、私も直さんも安心して部屋を出ていけました。勝てるって確信してたから」
「その様子を見たときに思いついたんだよ。俺達以外にもチームが存在するってな。大体、負けたやつらがここに来るってことが不自然なんだよ。金を持ち逃げされないか、心配だったんだろ?」
秋山のその言葉に直は考えてから話そうとする。
「私は…」
「君はいいよ。ものすごーく変わり者だってことくらいわかってるから。それに、#name2#は俺に会いにきた、だろ?」
#name2#は頷きそうになったが、昨日の怒りを思い出して、ぷいと顔をそむけた。
どんどんフクナガの失敗を洗い出していく秋山。さらに、最初にチームを組んだ時点でフクナガが“X”だと気付いていたと言う。
「…嘘だ、俺は完璧に…」
「相当鈍いな。お前は策に溺れたんだよ、フクナガ」
そう、フクナガの友人、ツカハラユウは女だったのだ。その代理として来たフクナガは女装をしていた。しかし女装の必要がなくなったため、ゲーム中は男の恰好をしていたのだ。
「じゃあ、どうして秋山さんにはわかったんですか?タカダさんも“X”は絶対に女だって言ってたのに…」
「フクナガは疑惑の目を女に集中させようとした。そこで選ばれたのが、15番。だが、そこで大失敗。もし15番が“X”なら、サングラスなんて掛けてるはずがない。疑われたくないなら普通は素顔をさらすだろう?ツカハラユウという名前、そして、15番を“X”だと言い切る自信。この時点で俺はお前の言動に注意を向けてたんだ。…そしてお前は、決定的なミスを犯したんだ。わかるだろう?#name2#」
#name2#は急に話を振られてびっくりしたが、不敵に笑いながら頷いた。
「そうですね、フクナガさん、あなたは自分が“X”だと言ったようなものです。だって深一さんは、1億円が“小切手”だなんて一言も言ってないのに、あなたはそれを知っていたんですから」
―余裕のはずだよ!一億円の小切手持ってるんじゃ…―
「どうして知ってたんですか?1億が小切手だって」
フクナガが震えだす。
「そのとおりだ、#name2#」
秋山は#name2#を軽く抱き寄せると頭を撫でた。
そのまま#name2#を引っ張ってソファまで誘導する。
「わかったか?お前の戦略がいかに甘かったかってことが」
「いい気になるなよ…それで勝ったつもりか?お前は俺の作戦を止めただけなんだ!ゲームは振り出しに戻ったんだよ。こんなの、平 気 な ん だ よ ぉ ぉ !!!」
「振り出しに?戻ったねぇ」
#name2#の腰に手を回しながら、余裕の表情で答える秋山。
「そうだ…まだゲームは終わってない…!」
そこで、ディーラーがゲームの再開を呼びかけた。
抽選の結果、出題者は秋山に決定した。
「…俺か…。人生で一番大切なものは…、金だ」
「出題者から問題が出ました。6時間の間に投票をお願いします」
「6時間も必要ない、俺の答えはもう決まってる」
その言葉に全員が驚く。
「Noだ」
全員に見えるように、Noのカードを投票箱へ落した秋山。
「秋山さん!」
「何やってんだよ、まだ6時間もあんのに…」
そう言われても、秋山は断言する。
「いらないな、時間なんて。おいフクナガ、勝つのは、おーれーなーの」
フクナガを挑発すると、フクナガが吠えた。
「ハッタリかましてんじゃねぇぞ!!!」
「どうかな?どっちにしろお前らが今見たとおり、俺は今、Noに投票した」
いいながら、手に持っていたYesのカードを破り捨てる。
「つまり、すでにNoに一票入っている以上、少数派に入れるにはYesに入れるしかない。でも逆に、お前らが自分のことばかり考えて、全員Yesに入れたら、その時点でNoが少数派になり、俺の勝ちが確定する」
「お前、ふざけてんじゃねぇぞ!」
「大真面目だ。俺を勝たせたくないなら、誰かが犠牲になってNoに入れるしかない。ただしその時点で、そいつの勝ちはなくなるけどな。…断言する。お前たちは3人とも、自分が犠牲になることを選ばない。だから、このゲーム…、必ず俺が勝つ」
3人の顔には焦りが浮かび、直には希望が見えた。
不敵に笑う秋山は、勝利を確信した目をしていた。
(…ところで、いつまで拗ねてるんだ?)(別に、拗ねてなんてないですから)(…)