08


第2ゲームが終わった時点で#name2#と直は負けとなり、会場を後にした。


「…ひどいです、深一さん。わざと私を負かすなんて」

「きっと、秋山さんにも作戦があったんだよ!じゃあ、明日の朝、ここまで来ない?私、心配で家でおとなしくしてるなんて、出来そうにないし…」


「それ、いいですね!じゃあここまで来て、深一さんをびっくりさせましょう!」




****




翌朝

秋山がベッドに寝転んでいると、携帯が鳴った。


「“はい”」

「“あ、あたしです!”」

「“どうした、こんな朝早くから”」

「“…おはようございます、深一さん?”」


予想外の声が聞こえてきて、秋山は驚く。


「“家で待ってるの不安になっちゃって…、来ちゃいました。会場”」

「“私を負かしておいて、ハイ、そのままってわけにはいかないですよ!”」


話によると、直と#name2#は一度帰ったが今朝またここに来たらしい。そして、二人だけではなくて何人かの敗者も会場まで足を運んだようだ。


「“それ、俺達のチームの人間か?”」

「“いえ、違います。1番の人と、8番の、ヒロミさん。結果が気になるんじゃないですか?”」


秋山は少し黙りこみ、ゲームが終わったら電話をすると言って切った。


「えっ、もう切っちゃったんですか?…あとでとっちめてやります…」

会場の外でゲームの結果を待とうとしていたら、中からエリーが出てきた。

どうやら、中に入れてもらえるらしい。ついていくと、広間を通り過ぎたところの扉に通された。中からは広間の様子を伺うことができた。


「それではこれより、少数決第3ゲームを開始致します」

抽選の結果、出題者は3番、ツカハラ。


「この4人の中で勝ち残るのは…、自分だ」


残り、6時間。


「ちょっと、秋山君!次は、僕がYesで、秋山君がNoでいいんだよね?」

「ああ」

「うまくいけば、これで勝負かつくわけだ…」

「そうだな」


そして時間が経ち、開票となった。

「只今から開票いたします」

「11番、No。15番、No」

「#name2#ちゃん、これで私たちの勝ちだよ!」

「…そうですね」

「行こう!」


直は#name2#の腕を掴んで、広間へと入って行った。


「秋山さん!ツカハラさん!」

「誰が入っていいと許可しました?」


エリーが厳しく注意する。

「構いません、その方々には、そこでゲームを観戦していただきなさい」


ディーラーがそう言うと、事務局の人が椅子と仕切りのロープを持ってきて、そこに座らされた。

直は嬉しさを隠しきれずに笑顔でいる。


「ちょっと、なんであんたが嬉しそうなのよ」


隣にいたアソウヒロミが直に不思議そうに言う。


「えっ…そ、それは…」

「それは、チームを組んでたからだよね?」


ツカハラが直の言葉を続ける。

他のプレーヤーは驚いた表情でツカハラを見る。


「ああ、別にそういう作戦を立てるのはルール違反じゃないよ。ですよね?ディーラーさん」


ディーラーはそれを肯定する。


「ツカハラさん!私たちの勝ちですね!」


直は立ち上がり、ツカハラに満面の笑みを見せる。


(…深一さんなら、きっと何か策はあるんだろうけど…このキノコむかつきます)


「…クク…。…クハハハハ…!直ちゃん、君は本当に…バ カ だ よ ね ぇ!!!」


直の笑顔が凍りつく。ツカハラは構わず続ける。


「根本的なこと間違えてんだよ。勝ったのは俺達じゃない。勝ったのは、お・れ・な・の・ぉ!!!」


「…何言ってるんですか、ツカハラさん…」

「“何言ってるんですか、ツカハラさん”って…、だからそこから間違ってるんだよ。俺、ツカハラって名前じゃないし。俺の本当の名前はフクナガユウジっていうの。ちなみにツカハラユウっていうのは俺の友達の名前ね!」


つまり、フクナガは秋山のように代理参加をしていたのだ。


「あとそれともうひとつ、あ、ちょっとタンマ!待っててねぇ、待っててねぇ。ジャンジャジャーン」


そう言ってフクナガが見せたのは、1億円の小切手だった。


「実は俺、 “ X ” な ん だ!タカダミチコっていう女から1億奪ったの、俺なんだよねぇ!!」


直は未だ信じられないといった表情で否定しようとする。


「“X”は女の人って…」

「俺結構器用でさ、女の声なんか…こんなふうに、簡単に出せるのよ、ねー」


フクナガの笑い声が広間に響き渡る。


#name2#は気分が悪くなって、顔を顰めていた。


「傑作だよなぁ。あのバカ女俺のこと本物の女だと思ってたわけだぁ」

「ツカハラさん…」

「だから俺の名前はフクナガだっつってんだろうが!!…まぁ、認めたくないよね。だって、“X”を仲間に入れちゃった張本人は直ちゃん、君だもんねぇ?感謝してるんだよ?君の間抜けっぷりにはさ。ま、とにかく、俺は“X”で、しかもツカハラユウじゃない。


これってどういう意味かわかってる?」


チーム作成のときに交わした契約書にはツカハラユウの名前でサインしてある。つまり、フクナガはその契約書に拘束されずにいられる。


「22億を分ける義務が俺にはないってことだよぉ!!」


フクナガは最初から、22億を独り占めするつもりでこの作戦に乗ったのだった。

フクナガの作戦はこうだった。

秋山たちと同じように、8人のチームを他に2つつくる。#name2#を除くとプレーヤーは22人、フクナガがそれぞれのチームに加われば3つのチームを作ることが可能となる。そして、それぞれのチームで半数ずつ投票するという作戦をとれば、必ずフクナガのいる方が少数派となるのだ。


「わかったか、俺の作戦のすごさが!どっちが少数派になるか、すべて俺が決めてたんだ!つまりこのゲームの支配者は、俺だったんだ!!」


秋山たちとチームを組んでから、わずかな時間で残り2つのチームを作り上げたのだ。


「…本当に…最初から…?」

「言ってんだろ最初から22億独り占めするつもりだったんだって!!何度も言わせるな!!!何度も言わせるな!!!…そうそう、この15番を“X”に仕立て上げたのも俺なんだよね。こいつを最後まで残しとけば、俺は疑われなくなるだろ?」

「あたしのことも騙してたってわけ?」


15番はフクナガに怒りを表す。


「お前らさぁ、ちょぉぉぬるいんですけどぉぉ!!!ディーラーさんも言ってただろ?このゲームは時間を制した者が勝ちだって!」


熱弁を続けるフクナガにキレたエトウが殴りかかろうとするが、返り討ちにあってしまった。


エリーが暴力をやめさせ、エトウは悔しそうにする。


「いっちょ前に悔しがりやがってヒョウ柄がぁ。お前らみたいなのが一生騙される側なんだ、はい注目!!いいですかぁ!?お前らみたいなバカが、利用されたからって、文句をいっては、いけません!!


よーく覚えておけよ?騙される方が悪いんだ」


フクナガがそこまで言うと、ディーラーが開票の続きを促す。

勝利を確信したフクナガは開票の結果を楽しそうに待つ。


「それでは、3番、Yes」

「Yes!Yes!Yes!アハハハ!!」


踊りだすフクナガ、絶望の色を浮かべる直。


「負けた…」

「まだですよ、直さん。深一さんを信じて」


#name2#は小さな声で直に囁く。


「最後に、22番、


Yes」


「開票の結果、Yes、No、同数となりました。このゲームは無効となります」


時間が、止まったような感じがした。



(だから言ったろ?任せろって)(いいとこ取りなんて、ずるいです。深一さん)


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