06


周りのプレーヤーに聞かれたくないため、3人は秋山の部屋へ移動した。


「このゲームでの勝利って何だと思う?」

「それは…勝ち残って、22億取ることじゃないんですか?」

「そんなことないですよ」

「そう、2人残って10億しか手に入らなかったらどうだ?」


直はそれでも十分勝ちだと言う。


「じゃあ数千万しかもらえなかったら?」

「…それでも、十分大金です」

「他のプレーヤーも皆そう思いますかね?」


まだ二人の意図することが分からず、怪訝そうな顔をする。


「他の人達だって…1回戦では数百万しか稼いでないんですよ。でも、私はこのゲームから抜けられるなら、お金なんて1円もいりません」

「なら、問題なさそうだな」

「あの、必勝法ってどんな方法なんですか?」


秋山の必勝法とは、チームを組むことだった。8人のメンバーを集め、それぞれが決まった行動を取ることだ。必ず半分ずつのメンバーがYesとNoを回答すれば必ず自分たちが勝てる。


「本当だ!私たちの仲間が必ず最後に残る!」

「そうです、最後に賞金を手にした人がチームのメンバーならそれを全員で分ければ、4000万円ほどは手に入ります。私は既に1億持っているので、必要ないですし、どっちにしろ私はできれば勝ち残ってこの後のゲームも参加するつもりですから」


そう、この方法なら借金なしでこのゲームから抜けることができるのだ。


「え?#name2#ちゃん、3回戦にも進むの?」


直は信じられない、といったように#name2#の顔を見た。


「こいつにも事情がある。…とにかく、これで少なくともお前は抜けられるだろう」

「…そうですね!すごいです!本当に本当に必勝法じゃないですか!!」


しかし秋山はいくつか懸念材料があると言う。


「例えば、ここに俺が入れた理由」

「…参加者の中に1億円奪った人がいる」

(そういえば、私聞かなかったですけど、深一さんのネームプレートはタカダミチコ、本人としての参加じゃないのってありなんですね)

「そう、仮に“X”と呼ぶが、こいつは他の奴とは明らかに違う。他人から1億円を平然とだまし取る、残忍さと狡猾さ。…特に一番質が悪いのは…“X”が1億の小切手を持ってるということだ」

「他の人は負けたら1億の借金だけど…」

「…その、“X”は簡単に返済が出来てしまいますね」


この作戦に必要不可欠なのは、決して“X”をチームに入れないこと。しかし、タカダミチコによると、“X”は顔を隠していた。声や雰囲気から女であるということしかわかっていないのだ。


「それじゃ、“X”が誰だか分りませんね…。でも、特に怪しいのは15番のサングラスの人かな?変に落ち着いていたし…。あ、そっか!“X”のことは心配しなくてもいいんですよ、秋山さん!女性を外せばいいんです。男の人の方が多いから、すぐにチームは作れますよ!」

「…女性を外す…?」

「うーん、それで本当にいいのかな…」


二人が考え込む中、直は男性を呼んでくると言って部屋を出て行こうとした。


「あ、おい!」

「直さん、待って下さい!」


しかし直は話を聞かずに走って出て行ってしまった。


「…追いかけますか?」

「…放っておけ」





****





そして直は6人の男性プレーヤーを連れてきた。


「おい、これじゃあ9人だろう」

「ご、ごめんなさい…。みんな困ってたみたいで…」


秋山が直に睨みを効かす。


「いいですよ、私はチームから抜けます。だって1回戦の賞金がありますから!」

「…まあ、仕方ないか」

「ごめんね!#name2#ちゃん!」


集まったメンバーに作戦を伝えた。


「おお、すげーよ、この作戦最高じゃん!」

「いや、あの、作戦はわかったんだけど…、このメンバーが裏切らないっていう保証はあるの?」

「最後に残ったやつが22億持ち逃げするかもしれないだろ?」


確かに、一番心配な点だった。


「それは心配ない。この作戦に参加してもらう以上、きっちり契約書を書いてもらう」


ああ、それなら…。と秋山の案に同意するメンバーたち。


「内容は、あらかじめ決められた行動を取ること、最後に残って賞金を手にしたら他のメンバーに必ず金を分配すること」


全員がその契約書にサインをすると、今後について話し合う。が、

「おい、そこの嬢ちゃんはメンバーじゃないんだろ?契約もしてないから、こっちの作戦バラす可能性だってるんじゃないのか?」


一人のメンバーが#name2#に目をつけた。


「それもそうですね。じゃあ私は自分の部屋に戻りますね!皆さん、健闘を祈ります!」


そう言うと、#name2#は部屋を出ようと立ち上がった。


「待て」


秋山が#name2#を呼びとめた。メンバーの全員が秋山を見る。


「#name2#は俺の傍から離れるな。安心しろ、こいつは別の契約書を用意してある」

「…深一さん…、恥ずかしくないんですか…」


秋山はもう一枚紙を取り出した。

そこには、作戦を口外しないこと、と書いてあった。


「これで問題ないだろう」


見渡すと、全員が納得したようだった。


「よかった、これで助かる」


安心したように胸を撫で下ろす。

そこで一人のキノコ頭の男、ツカハラユウが口を開いた。


「あ、ところでさ、何でこのメンバーでチームを組むことにしたの?」

「あ、それは…」


直は秋山に確認を取ると、理由を続ける。


「23人のメンバーの中に危険人物がいて…」

「「危険人物?」」

「そうだ」


秋山はタカダミチコから1億円を奪った人物がいること、それが女性であることを話した。


「私たちは、“X”って呼んでて、あと、15番の人が怪しいんじゃないかって…」


するとツカハラもその意見に同意した。


「僕もなんか…あの人怪しいなって思ってたから。女の人なのに、一人だけ妙に落ち着いちゃってるしさぁ…。余裕のはずだよ!一億円の小切手持ってるんじゃ…、借金にビビる必要ないし!15番、“X”で間違いなし!!」

「やっぱり…」

(…ばーか、です)


声には出さず、#name2#が馬鹿にすると、秋山は述べる。


「仮にそうだとしても、もう心配ない。チームを組んだ時点で俺達の勝ちは確定してるからな」


メンバーたちの緊張はほぐれたようで、皆話し合っている。

#name2#は秋山の隣で小さく話しかけた。


「深一さん…」

「ああ、わかってる。だが、このゲーム、俺達の勝ちだ」

「そうですね」


怪しく笑う二人の視線の先には一人の人間がいた。



(そろそろ私戻りますね)(俺の傍を離れるなって言っただろう)(ここで寝るんですか!?)


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