プロローグ


3年前のあの日。

私があなたに会った最後の日でした。



「#name3#さん、お世話になりました」


私の父にお礼を言いに来た青年―秋山深一―は私の想い人だ。

気持ちを伝えるつもりはある。が、今そうすれば辛くなる。

少なくとも、私は。

私達は歳が8つ離れている。そう、つまり彼にとって私はまだまだ子供なのだ。

そして、彼は今日、警察に出頭する。

お母さんの復讐のために詐欺師になって目的を達成したのだ。私の父は情報屋をやっている。(本業はカジノディーラーだが)最初の出会いは父さんのところに深一さんが情報を買いに来たのがきっかけだ。何度か彼が来るうちに私とも親しくなった(と思う)。

けれど、しばらく会えなくなる。それだけですごく寂しく感じた。


「元気でやれよ」


父さんが深一さんを優しく送り出す。


「はい、失礼します」


最後に私に小さく微笑んで深一さんは歩きだした。






「…あ、あのッ!深一さん!!」

「…どうした、#name2#?」

「…あの…わ、私……待ってます!」


ああ、何を言っているのだろう。意味がわからないのはわかってる。

だけど、あなたとの繋がりが欲しかったの。


「私、何年でも深一さんのこと、待ってます。あなたを信じて、待ってます、だから…、だから……」


涙で視界がぼやけてる中、深一さんが近付いて来るのが見えた。


「#name2#」


顔をあげることが出来なかった。

泣いてる顔なんて見せたくなかったから。笑顔で見送ってあげたかったから。


「#name2#、」


深一さんに顎を持ち上げられた。

視線がぶつかる。そのまっすぐな眼差しに射ぬかれた気がした。

深一さんの親指が私の涙を拭う。その優しい仕草に余計涙が溢れた。


「お前は俺を、俺だけを信じて待ってろ」

「…はい。何があっても、絶対にあなたの味方でいます」


私がそういうと、深一さんは満足そうに笑って私の唇にそっと口付けた。

しょっぱい涙の味がした。




(さよなら、深一さん)(またね、深一さん)(大好きです、深一さん)


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