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赤司と#name2#が付き合い始めてから数日経った。二人が一緒に登校したのは最初の一度のみ。下校時間は部活がある赤司と被ることはなく、昼休みもお互いに今まで通り過ごすことが多かった。それでもたまに教室で一言二言交わしたり、授業でグループを作ることがあれば積極的に関わるようにした。

周りの友人たちには夜連絡をくれる、と言ってある。部活や生徒会で忙しい征くんの邪魔はしたくないの。と言えば#name2#はたちまちよく出来た彼女として扱われた。バスケ部の練習もあれ以来観に行っていない。

必要以上に関わらないがそれがかえって落ち着いた関係だと捉えられ、お互いに煩わしく感じていた件はかなり減少した。


「今度の土曜日さ、バスケ部の試合一緒に行っていい?」


#name2#が昼休みにそう発言すると友人の黄瀬ファンたちから一斉に了承の返事が来た。元々彼女たちはいくつもりだったというのは聞いていたので便乗することにした。


「#name2#が試合に来るなんて…!」

「赤司くんのおかげだね!#name2#も一緒にバスケ部応援できるなんて嬉しいよ」


正直一人なら面倒で行かなかったかもしれない。気心知れた友人たちと一緒ならば遊びに行くついでのようなものだし休日の過ごし方としても悪くないと思う。


「赤司くんに観に来てって言われたの?」

「うん!応援してくれたら嬉しいって」

「なにそれ惚気?羨ましいなぁもう!」


照れ臭そうに笑ってみせると幸せそうだなぁと小突かれた。#name2#何着て行くの?買い物行く?わたしも新しい服欲しいー!と話は盛り上がっていく。別に赤司のためにお洒落をしようとは思わないが買い物には行きたい。新しい服で遊びに行くと思えばなんとなく心が弾んだ。




****




”彼氏とはどうだ?”


その夜、従兄弟からメッセージが届いていた。フリとはいえ#name2#にとって初めての彼氏だから心配してくれているのだろう。性格があまりにもひん曲がった従兄弟だが昔から#name2#には優しかった。


”普通だよ。たまに教室で喋ったり。あと今度部活の試合観に行くよー”


送ってから#name2#は赤司がバスケ部であることを伝えていないことを思い出した。従兄弟も全国区なのだから優勝したうちの選手を知っているかもしれない。学年が違うので赤司を知っているとは限らないが。


”まさかバスケ部じゃないよな”

”バスケ部だって言ったらどうする?”


ちょっと意地悪な返しをしてしまっただろうか。そうだと言えば従兄弟は苦虫を噛み潰したような顔をするのだろう。別に#name2#の彼氏が何部だろうがどこの誰だろうが関係ないはずなのにきっとそうするような気がした。反応を見てみたくて送ってからニヤリと笑う#name2#は即鳴った携帯に面食らった。

メッセージではなく電話がかかってきたのだから。


「もしも『おいバスケ部のヤツと付き合ってんのか?』

「…だめなの?」

『………ダメってわけじゃねぇけど』


珍しく歯切れの悪い従兄弟は一旦区切ってからこう言った。


『本気になるなよ』

「…それは大丈夫だよ」


大丈夫、心配いらない。一度こんな関係になってしまった人を好きになるなんて、不幸にもほどがあるなんてことちゃんとわかってる。

わたしは彼のことなんかこれっぽっちも好きじゃない。そう伝えると真くんはそりゃそうだよなと笑っていた。同じように笑いながら当たり前じゃん、と返した喉は何故かひどく声が出しづらかった。


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