03
翌日、#name2#はいつものように登校した。途中で会ったクラスの友人と歩いていると同学年の見知った生徒たちがおはようと声をかけてくる。田中の姿が見えないことに少なからず安心していた。
校門をくぐり昇降口へ向かう。赤司が背の高い眼鏡の男子と一緒にいるところを見かけた。体育館の方から来たところを見る限り、朝練があったのだろう。
「あっバスケ部の朝練終わる時間じゃん!ごめん#name2#、ちょっと寄り道してくねー!」
「えぇ、今から…?って、行っちゃったし…」
あと10分もせずに朝のHRが始まる。彼女は大方他クラスの噂のモデルくんに会いに行ったのだろう。#name2#はさっさと行ってしまおうと思い再び昇降口を目指した。
#name2#が到着すると赤司がちょうど上履きを取り出すところだった。こちらに目を向けられたので、赤司くんおはよう、と声をかけて靴箱の戸を開ける。横目で見た赤司が上履きを取り出す前に可愛らしいピンク色の封筒を取り出すのをバッチリと目撃してしまった。
「おはよう、#name1#さん」
手紙をスクールバッグに入れながら靴を履き替える赤司は#name2#が上履きを履き終わるまで待ってから名前を呼ぶ。
「#name1#さん、」
「大丈夫。誰にも言わないよ?昨日のも今日のも」
「助かるよ」
貰った手紙に嬉しそうにするどころか微塵も興味を示さない赤司に、この点ばかりは同種かもしれないと思った。彼の友人であろう眼鏡の男子が目に入ったので#name2#はそのまま教室へ向かった。
****
午前中は何事もなく過ごした。3限後に田中がまたも古典の教科書を借りに来たくらいだ。幸い教室移動する前だったので特に長く話すこともなく別れることができた。
昼休み、基本的にお弁当を持参する#name2#は教室で友人と食べることが多かった。女子グループで食べているのでこの時間に声をかけてくる男子は少ない。学食は人が多くて1年の頃うんざりして避けるようになったのでしばらく行っていない。
「今日黄瀬くん見に行かない?」
「行く~!最近バスケめちゃくちゃ上手くなっててカッコいいもんね」
「今年から始めたのにほんと凄いよね!」
「#name2#は?」
「わたしはいいや。みんな楽しんで来てね」
名前くらいは知っている、黄瀬くん。運動神経抜群で人当たりのいい彼は1年生の頃からよく噂になっていた。モデル活動もしていて、今年からバスケ部に所属しているらしい、というのは全て目の前の彼女たちからの情報だ。
かといって黄瀬くんに興味があるわけではないので、廊下を通っても友人たちが騒がなかったら気付かないだろう。
断った#name2#にもったいな~い!と返してからこの前の雑誌に出ていた黄瀬くんの話に移っていった。
****
休み時間が終わる前にお手洗いに行った帰り、廊下で田中に会った。手には#name2#の古典の教科書とポッキーが握られていた。
「あ、#name1#。ちょうどよかった」
「田中くん」
「これサンキューな!」
またしてもお菓子が添えられた教科書を受け取る。彼はわたしを太らせたいのだろうか。それともお菓子ごときで気を引けると思っているのだろうか。ポッキー嬉しい!と満面の笑みを見せて早々にじゃあねと手を振った。
背を向けたところで笑顔を消す。そもそも菓子をそこまで好んで食べはしないというのに。また友人たちにでもあげようかと考えていると前から赤司とやたら背の高い男子が見えた。お弁当を忘れたのかな?と思うほど大きなビニール袋は、どうやら大量のお菓子が入っているようだ。さらには今まさにガサガサと袋を漁り手に取ったまいう棒を開けようとしていた。
「ねぇねぇ」
「?」
話したことはないが赤司といるし同級生だしいいだろう。そう思って#name2#は見上げるほど大きな男子に声をかけた。赤司とともに足を止めた男子は少し丸めた背で見下ろしてきた。
「お菓子好きなの?」
「誰~?お菓子は好きだけど~」
「じゃあこれあげるよ。貰ったんだけど、わたしダイエット中だから」
困ったように笑いながらポッキーを差し出すと彼は迷うことなくそれを受け取ってくれた。ありがと~と頭の上に降ってきた声はとても緩い。
「#name1#さん、キミが貰ったものなのにいいのかい?」
「いいの!あ、でも内緒にしてね?」
「ああ、そうだね」
昨日赤司がしてみせたように人差し指を唇にあてた。赤ちん知り合い~?と緩い声が聞こえた。赤ちんって、もしかしてもしかしなくても赤司のことだろうか。
そのまますれ違って歩いていく二人の後ろ姿を見送る。
「敦、菓子を食べながら歩くな」
「え~」
何あれ。まるで保護者のようなやりとりがおかしくて、顔を作らずとも自然と笑ってしまった。
校門をくぐり昇降口へ向かう。赤司が背の高い眼鏡の男子と一緒にいるところを見かけた。体育館の方から来たところを見る限り、朝練があったのだろう。
「あっバスケ部の朝練終わる時間じゃん!ごめん#name2#、ちょっと寄り道してくねー!」
「えぇ、今から…?って、行っちゃったし…」
あと10分もせずに朝のHRが始まる。彼女は大方他クラスの噂のモデルくんに会いに行ったのだろう。#name2#はさっさと行ってしまおうと思い再び昇降口を目指した。
#name2#が到着すると赤司がちょうど上履きを取り出すところだった。こちらに目を向けられたので、赤司くんおはよう、と声をかけて靴箱の戸を開ける。横目で見た赤司が上履きを取り出す前に可愛らしいピンク色の封筒を取り出すのをバッチリと目撃してしまった。
「おはよう、#name1#さん」
手紙をスクールバッグに入れながら靴を履き替える赤司は#name2#が上履きを履き終わるまで待ってから名前を呼ぶ。
「#name1#さん、」
「大丈夫。誰にも言わないよ?昨日のも今日のも」
「助かるよ」
貰った手紙に嬉しそうにするどころか微塵も興味を示さない赤司に、この点ばかりは同種かもしれないと思った。彼の友人であろう眼鏡の男子が目に入ったので#name2#はそのまま教室へ向かった。
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午前中は何事もなく過ごした。3限後に田中がまたも古典の教科書を借りに来たくらいだ。幸い教室移動する前だったので特に長く話すこともなく別れることができた。
昼休み、基本的にお弁当を持参する#name2#は教室で友人と食べることが多かった。女子グループで食べているのでこの時間に声をかけてくる男子は少ない。学食は人が多くて1年の頃うんざりして避けるようになったのでしばらく行っていない。
「今日黄瀬くん見に行かない?」
「行く~!最近バスケめちゃくちゃ上手くなっててカッコいいもんね」
「今年から始めたのにほんと凄いよね!」
「#name2#は?」
「わたしはいいや。みんな楽しんで来てね」
名前くらいは知っている、黄瀬くん。運動神経抜群で人当たりのいい彼は1年生の頃からよく噂になっていた。モデル活動もしていて、今年からバスケ部に所属しているらしい、というのは全て目の前の彼女たちからの情報だ。
かといって黄瀬くんに興味があるわけではないので、廊下を通っても友人たちが騒がなかったら気付かないだろう。
断った#name2#にもったいな~い!と返してからこの前の雑誌に出ていた黄瀬くんの話に移っていった。
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休み時間が終わる前にお手洗いに行った帰り、廊下で田中に会った。手には#name2#の古典の教科書とポッキーが握られていた。
「あ、#name1#。ちょうどよかった」
「田中くん」
「これサンキューな!」
またしてもお菓子が添えられた教科書を受け取る。彼はわたしを太らせたいのだろうか。それともお菓子ごときで気を引けると思っているのだろうか。ポッキー嬉しい!と満面の笑みを見せて早々にじゃあねと手を振った。
背を向けたところで笑顔を消す。そもそも菓子をそこまで好んで食べはしないというのに。また友人たちにでもあげようかと考えていると前から赤司とやたら背の高い男子が見えた。お弁当を忘れたのかな?と思うほど大きなビニール袋は、どうやら大量のお菓子が入っているようだ。さらには今まさにガサガサと袋を漁り手に取ったまいう棒を開けようとしていた。
「ねぇねぇ」
「?」
話したことはないが赤司といるし同級生だしいいだろう。そう思って#name2#は見上げるほど大きな男子に声をかけた。赤司とともに足を止めた男子は少し丸めた背で見下ろしてきた。
「お菓子好きなの?」
「誰~?お菓子は好きだけど~」
「じゃあこれあげるよ。貰ったんだけど、わたしダイエット中だから」
困ったように笑いながらポッキーを差し出すと彼は迷うことなくそれを受け取ってくれた。ありがと~と頭の上に降ってきた声はとても緩い。
「#name1#さん、キミが貰ったものなのにいいのかい?」
「いいの!あ、でも内緒にしてね?」
「ああ、そうだね」
昨日赤司がしてみせたように人差し指を唇にあてた。赤ちん知り合い~?と緩い声が聞こえた。赤ちんって、もしかしてもしかしなくても赤司のことだろうか。
そのまますれ違って歩いていく二人の後ろ姿を見送る。
「敦、菓子を食べながら歩くな」
「え~」
何あれ。まるで保護者のようなやりとりがおかしくて、顔を作らずとも自然と笑ってしまった。