宴会のおはなし


「よォーし、今日は無礼講だ!!かんぱーい!!!」


近藤の掛け声で始まった宴会。酒好きが集まる真選組ではこうして宴会が開かれることがある。当然、全員で行うわけにはいかないがそれでも集まった隊士達も乾杯を交わし、思い思いに騒ぎ出した。


「よーう、#name2#。飲んでやすかィ?」

「総悟、もーまたそんなの飲んで。まだ私達未成年じゃない」


総悟は鬼嫁の一升瓶を片手に携えて#name2#の隣へ腰掛けた。#name2#の手に握られたオレンジジュースのグラスを奪って無理やりその手にお猪口を持たせて酒を注ぐ。


「何言ってんでィ。今日は無礼講でさァ。ほら、飲みなせェ」

「…じゃあ、これだけ。飲んだことないからちょっと怖いなァ」


#name2#だって興味がなかったわけではない。口うるさそうな土方も見ていないことだし、持たされてしまったものは仕方がないし、少しだけと笑いながら少し飲んでみると、喉が熱くなる感じがした。


宴会も盛り上がってきて、隊士達も相当酔い始めたころ。


「近藤勲、脱ぎまーす!!」

「いいぞー、近藤さーん!!!」

「局長、脱いでくださーい!!!」

「ゴリラー!!」

「今誰かゴリラって言ったよね!?」


辛辣な言葉に泣きそうになりながらも近藤が上着にズボン、そして褌に手をかけたところで慌てて土方がその手を掴んだ。


「オイ!近藤さん!!#name2#もいるんだぞ?!…汚ねェもん見せんなよ」

「え?だってトシ、#name2#ちゃんが…」


そう言って近藤の指差した方を土方が見ると、そこには…


「何やってんだ、早く脱げー!!」


完全に出来あがった#name2#があった。


「…オイ、#name2#」

「なんだよー、マヨー。何か文句でもあるんですかぁ」


完全に目が据わり、ゆでダコのように真っ赤になった顔で土方を見上げた。どう見ても酒に酔っていて飲んだのか、などと聞かずとも答えは明白だった。#name2#の手に握られたお猪口を奪おうとしてもイヤイヤと顔を背けられてしまった。


「いやー、#name2#ちゃん、いい飲みっぷりだね!!」

「これが初めてだなんて思えないくらいだ!ほら、もう一杯!!」


周りにいる隊士達が煽るから余計に#name2#は飲むスピードが速くなる。溢れるほど注がれた酒を口に運んで一気に飲み干し、その口の端から伝う酒を土方は強引に自分の袖で拭ってやった。


「ったく、あんまコイツに飲ませんな。まだ未成年だろーが」

「いいじゃないですかぁ、総悟だって飲んでるんだし。土方さんも一緒に飲みましょ?」

「それは無理でさァ、#name2#。土方さんはマヨしか飲めないからねィ。ってことで、マヨ喉に詰まらせて死ね土方」

「ってことでって何だァ!!しかもマヨは喉に詰まらねェよ!!!!テメーらも飲みすぎだぞ」


呆れながらタバコを取りだそうとする土方の手を#name2#が掴んで引っ張り強引に隣に座らせ、至近距離になった目と目を合わせて#name2#はにっこり笑った。


「まぁまぁ、いいから!土方さんもこっち来てくださーい」

「…ったく、仕方ねェ。だがあと少しで部屋戻るからな」


近づいた距離に思わず顔が熱くなるのを感じて土方はその顔をぷいと背ける。自分のいないところで酒を飲ませるのは危険だと胸に刻んだところで#name2#に注がれた酒を喉の奥に流し込んだ。




****




宴会も終盤。参加していた隊士のほとんどが酔いつぶれそのまま眠りこけていた。そんな中、話し続ける二人。…いや、一方的に話し続ける少女が一人。


「それでね、その日はたまたまお兄ちゃんは出かけてたんですよォ。だからー、わたしは、お兄ちゃんのために、夕飯を作ってたんですぅ」

「あァ」

「それで、帰って来たお兄ちゃんは、それを見てね、どうしたと思います土方さん!」

「あァ」

「えへへ、お兄ちゃんはわたしの頭を撫でて、えらいな#name2#、って言ってくれたんですよ!!」

「あァ」


ぶっ通しで“お兄ちゃん”談義を続ける#name2#に土方は既に放心状態だった。もう一体どれくらいの時間が経っただろうか。これが始まって早々に席を立って戻ってこなかった総悟が恨めしい。そんな土方にはお構いなしにここにはいない兄に想いを馳せて頬を緩める#name2#。


(な、長ェ…こいつが“お兄ちゃん”を語りだしたら止まらねェ…。チクショー、#name2#の“お兄ちゃん”ってのは一体何処のどいつなんだ…!…見つけたらぶった斬ってやりてェ…)


それが嫉妬だとは気付くことなく心の中で、“お兄ちゃん”に毒づく土方。


「…ふぁ…何かもう眠くなっちゃいましたね…」


ふと話が止まったと思えば欠伸をしながら眠そうに目をこする#name2#。放っておいたらこのままここで寝てしまいそうだ。


「…あんなに飲むからだよ。ホラ、部屋に戻るぞ」

「…ヤダ、寝る」


駄々をこねて寝転がる#name2#を仕方なしに担ぎあげて土方は広間を後にした。周りに男どもが寝ているというのに、同じところで寝かせるわけにはいかない。小さな体は片腕でも軽々と持ち上がった。

#name2#の部屋に入り、布団を敷いてそっと寝かせる。寝かせた拍子に目を覚ましたのか、ぼんやりと土方の顔を見る#name2#の額の髪を避けてやる。そのままぽん、と軽く叩いてやればとろんした目をゆっくりと閉じた。


「もう寝ろ。明日も仕事なんだからよ」


返事がないのでもう寝たか、と土方は自室に戻ろうと立ち上がろうとしたが、袖を引かれたために立ち上がることは出来なかった。


「…#name2#?」


まさか、自分に甘えてくるのだろうか、という思考が一瞬頭を過る。


「…おやすみ…お兄ちゃん…」


小さな声で呟くと、#name2#は眠りに落ちてしまった。


(…俺は“お兄ちゃん”じゃねェ…!期待した俺がバカだった…)


頭を抱えながら部屋に戻ると、本格的に“お兄ちゃん”をぶった斬るために探し出したい気持ちをどうにか押し殺して咥えたタバコを思い切り噛み潰した。


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