01


「#name2#、荷物は纏まったの?」

「うん、もう大丈夫」

「そう。じゃあ今日はもう寝なさい。明日は早いんでしょう?」

「そうするね。おやすみなさい、お母さん」


母のおやすみ、という言葉を背に受けながらわたしは自室の扉を開けて、すっかり綺麗になった部屋を見渡した。明日はわたしの行く高校、正十字学園の入学式。晴れてこの春から目標だった正十字学園に入学することになったわたしは、寮生活が始まるため15年間育ったこの家を出る。

ほんの1年前までのわたしは、高校なんてどうでもいいと思っていた。無難な公立高校へ行って、無難な大学に行って。それでいいと思っていたのだけれど、ちょうどその頃の出来事がきっかけで、わたしは正十字学園を目指すことにした。

成績はごく平均的だったから名門校に行くと言ったわたしを担任の先生は驚き、反対もされたけれど、それでもがんばって、なんとか普通科に入ることが出来た。

すべてはあの人に会うため。命を落とすところだったわたしを助け、心までも救ってくれたあの人に。




****




もともとわたしは学園町に住んでいたから、その中枢の正十字学園までは少し電車に乗るだけで来ることが出来る。大きな荷物は先に寮に送ってあったので、革製の真新しい学生鞄だけを持ってわたしは正十字学園へ足を踏み入れた。

さすがというべきか、生徒数の多い正十字学園はわたしと同じ新入生で溢れかえっていた。これなら講義堂の場所が分からなくても流れに乗って歩いていれば辿り着けそうだ。

案の定、大きなホールのようなところへ着いたわたしは貼りだされた紙に従って普通科の指定された場所に座った。初等部や中等部からの持ち上がりなのか、既に話している人がたくさんいて会場内はざわついている。わたしと同じように1人でいる子たちは外部入学なのかな。

ふと、父から聞いていた学園の裏側を思い返す。この中には祓魔師を目指す人が、少ないけれど確かにいる。あの彼もこの学園と祓魔塾に通ったのだろうか。そういえば、彼は一体今いくつなのだろう。落ち着いた雰囲気から年上だと勝手に判断したけれど、彼の義父だという神父様には結構な子供扱いを受けていた。

あわよくば先輩だったりして、この学園で会えたらいいのに、なんて思ってしまう自分に思わず嘲笑が零れた。


(わたしは、呪われているのに)


そっと右目に手を当てて中の存在を確認する。そこには自分以外の存在があって、それは常日頃わたしの体を喰らってしまおうと牙をむき出していて。

どうか、この身がもつ間に、あの人に恩を返したい。




この恋、何色。


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